比喩とは?【作詞で役立つ8つの比喩表現】
このような悩みにお答えします。
本記事の内容
- 比喩とは
- 作詞で役立つ8つの比喩表現
- 比喩に似た技法や類語とは?
- まとめ
本記事の信頼性
この記事を書いているtanitaniは、現在シンガーソングライター歴2年目です。普段から曲作りをしており、持ち曲は100曲以上です。
今回は、作詞で役立つ8つの比喩表現をご紹介します。
作詞を始めてみたものの、思うような作詞ができない。そこで今回は、作詞の腕を何倍にも上げてくれる比喩表現をご紹介します。作詞を上達させたい方は必見です!
それでは、前置きはこの辺にして、早速ご紹介していきます。
比喩とは
比喩の意味
比喩(ひゆ)は、簡単に言うと「たとえる表現方法」です。別名、「比喩法」「比喩表現」とも言います。
物事を説明するとき直接的に描写・叙述・形容などをしないで、たとえを用いて理解を簡単にし、表現に味わいを加える修辞法です。
比喩には、直喩(明喩)・隠喩(暗喩)などの種類があります。
文学やエッセイなどにおいて、ある物事を説明するのに他の類似した物事を借りて表現する手法で、会話でも使われます。
比喩の効果
「比喩」表現を用いることにより、伝えたいイメージをわかりやすくしたり、表現したい意味を強調できます。
例えば、性格の明るさを伝えたいとき、「明るい女の子」よりも「太陽のように明るい女の子」と、太陽にたとえることで、明るさとともに健全さのイメージなどが強調されます。
作詞で役立つ8つの比喩表現
作詞で役立つ8つの比喩表現は、次の8つです。
- 表現①:直喩(ちょくゆ)|simile
- 表現②:隠喩(いんゆ) |metaphor
- 表現③:換喩(かんゆ) |metonymy
- 表現④:提喩(ていゆ) |synecdoche
- 表現⑤:転喩(てんゆ) |metalepsis
- 表現⑥:諷喩(ふうゆ) |allegory
- 表現⑦:奇想(きそう) |conceit
- 表現⑧:音喩(おんゆ) |sound symbolism
順番に見ていきましょう。
表現①:直喩(ちょくゆ)|simile
直喩(明喩)の意味
「〜のような」「〜みたいな」を使って、物事に例える表現技法
直喩(明喩)とは、「(まるで)〜のような」「〜みたいな」などの言葉を使い、ある対象を別のものにはっきるとわかる形でたとえる表現方法です。
直喩(明喩)の技法を用いた例文
直喩を用いた例文はこちらです。
- わたしの心はガラスのように繊細だ
- あなたの笑顔はまるで悪魔のようだ
- 一筋の光が射したように、アイディアが浮かんだ
- 彼の笑顔は、まるで清涼飲料水みたいに爽やかだ
このように、「(まるで)〜のようだ」「〜みたいな」という言葉を使った表現が「直喩」です。
次は、「暗喩」の反対の比喩表現である隠喩について説明します。
表現②:隠喩(いんゆ)|metaphor
隠喩(暗喩)の意味
「〜のような」を使わずに物事にたとえる表現技法
隠喩(暗喩)とは、「まるで~のような」「~みたいな」という比喩だとわかる表現をせず、「~は…だ」と言い切った言葉でたとえる表現方法です。
暗喩(隠喩)の技法を用いた例文
隠喩(暗喩)を用いた例文はこちらです。
- 今でもあなたはわたしの光(米津玄師「Lemon」より)
- 私は鬼だ
- 彼は裸の王様だ
- 彼女は悪魔だ
このように、「〜のような」という言葉を使わずに似ているものに置き換えて説明する表現が暗喩です。
表現③:換喩(かんゆ)|metonymy
換喩の意味
隣接するものを、それと関係の深いものでたとえる表現技法
換喩とは、 「隣接するものを、それと関係の深いもので表現する方法」で、暗喩の一種です。
隣接関係(近くにあるもの、またはその言葉を聞いて近くだと連想するもの)を紐付ける時に使います。
少しわかりにくいと思うので、例文をもとに解説していきます。
換喩の技法を用いた例文
換喩を用いた例文はこちらです。
- 自転車がパンクした(自転車のタイヤがパンクした)
- 樽を飲み干した(樽に入っているお酒を飲み干した)
- スマホを消す(スマホの電源を消す)
例文のように、 関係の深い隣接しているものに言い換える表現のことを換喩といいます。
3つ目の例文の場合、スマホそのものを消すことはできませんが、「スマホを消す」という言葉で「スマホの電源を切る」ことが分かりますよね。
このように「スマホ=スマホの電源」というような関係を表す時に使います。
普段何気なく使っている言葉も、実は換喩になっていることがあります。
表現④:提喩(ていゆ)|synecdoche
提喩の意味
部分的なことで全体を表す、またはその逆を表す表現技法
提喩(ていゆ)とは、 下位概念(部位)で上位概念(全体)を表すこと、またはその逆を表す技法 で、暗喩の一種です。
提喩(ていゆ)も少しわかりにくいので、例文をもとに解説していきます。
提喩(ていゆ)の技法を用いた例文
提喩(ていゆ)を用いた例文はこちらです。
- お茶でもどうですか?→お茶という下位概念で、飲み物という上位概念を表す。
- 会場へ行く足はある?→交通手段という上位概念を、下位概念である足で表す。
例文のように、上位概念(全体)を下位概念(部位)で表すこと、またはその逆のことを提喩といいます。
表現⑤:転喩(てんゆ)|metalepsis
転喩の意味
ある事柄を表現したい時に先行する出来事や後続する出来事をもってたとえる表現技法
転喩(てんゆ)とは、ある事柄を表現したい時に先行する出来事や後続する出来事をもって表現する技法のことです。
こちらも具体例をみたほうが簡単です。
転喩(てんゆ)の技法を用いた例文
転喩(てんゆ)を用いた例文はこちらです。
- 私は彼のお通夜へ行った→『彼の通夜へ行った』という事実(=後続する出来事)を持って『彼が死んだ』(=先行する出来事)ことを表現
- わたしは彼の家から朝帰りをした→『朝帰り』という事実(=後続する出来事)を持って『彼の家に泊まった』(=先行する出来事)ことを表現
作詞をしていると、詳細に描写したくない場面があります。
なぜなら、死や性に関して、あまりにも描写が生々しすぎると読者は嫌悪感を示すからです。
そういったときに転喩を用いることで、内容は変えることなく柔く表現することができます。
表現⑥:諷喩(ふうゆ)|allegory
諷喩(ふうゆ)の意味
抽象的な概念を具象的なものでたとえる表現技法
諷喩(ふうゆ)とは、抽象的な概念を具象的なもので例える比喩表現です。
別名、寓意(ぐうい)とも呼ばれたりもします
諷喩(ふうゆ)は、少し他の比喩表現とは特性が違い、西欧の神話や、寓話で用いられる比喩表現です。
諷喩(ふうゆ)の技法を用いた例文
諷喩(ふうゆ)を用いた例文はこちらです。
- 朱に交われば赤くなる→人は交わる友によって感化される
- 燕雀(えんじゃく)安(いずくん)ぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや→小人物に大人物の心はわからない
表現⑦:奇想(きそう)|conceit
奇想(きそう)の意味
全く関連性の無いもの同士を結びつける表現技法
奇想とは、他の比喩表現とは異なり全く関連性の無いもの同士を結びつけて表現する技法のことです。
これまでご紹介した比喩表現では、「例えられるもの」と「例えるもの」との間には何かしらの関連性がありました。
しかし、それが全く無いパターンが奇想と呼ばれます。
奇想(きそう)の技法を用いた例文
こちらは現在、作成中です。
表現⑧:音喩(おんゆ)|sound symbolism
音喩(おんゆ)の意味
オノマトペのこと
漫画などで用いられるオノマトペのことを切り出して音喩(おんゆ)と呼ぶことがあります。
音喩(おんゆ)の技法を用いた例文
音喩(おんゆ)を用いた例文はこちらです。
- フツフツと鳴り出す青春の音(あいみょん 「君はロックを聴かない」より)
- ダラダラと流れる青春の音(あいみょん 「君はロックを聴かない」より)
音喩(おんゆ)は具体的に、このように分類されます。
- 擬声語:「ワンワン」、「ニャーニャー」、「エーンエーン」
- 擬音語:「ドンドン」、「ゴロゴロ」、「パタパタ」
- 擬態語:「きらきら」、「ぴかぴか」、「つるつる」
- 擬容語:「うろうろ」、「ふらふら」、「のろのろ」
- 擬情語:「いらいら」、「うきうき」、「そわそわ」
こちらは、他の記事で詳しく説明します。
比喩に似た技法や類語とは?
比喩に似た技法や類語として、以下の3つご紹介します。
- 擬人法
- 形容
- 象徴
順番に見ていきましょう。
擬人法
擬人法の意味
人ではないものを人にたとえる表現技法
擬人法とは、 人間ではないものを、あたかも人間であるかのように表現することです。
「喩」という言葉は付いていませんが、「擬人法」も比喩の一種です。
擬人法を用いた例文
擬人法を用いた例文はこちらです。
- 花びらが舞い踊る→花が風で揺れている
- 海が呼んでいる→波の音がする
- 太陽がほほ笑む→空が晴れている
- 空が泣いている。→雨が降っている
- 今日は投手の球が走っている。→投手の調子が良い。キレが良い
このように、擬人法・擬人化(ぎじんか)は、人間以外の対象物を人間の性質にたとえて表現する比喩の方法の一つです。
形容
形容の意味
物事の性質や様子を表す表現技法
形容(けいよう)とは、物事の性質や様子などを言い表すことです。
他のものにたとえて表す比喩表現も「形容」に含まれます。
想像を超える状況などにより、言葉で言い表せないときに「この素晴らしさはとても形容しきれない」「今回の事件は形容しがたい状況だ」などのようにも使われます。
象徴
象徴の意味
抽象的なものを具象的なものにたとえる表現技法
象徴(しょうちょう)とは、説明しにくい抽象的な概念などを、具体的なものや言葉によって表すことです。
例えば、純潔の象徴を白で、平和の象徴を鳩とするなどです。
象徴が抽象的なものを具象的なものにたとえるのに対して、比喩は具象的なものを類似した具象にたとえるものです。
まとめ
以上で、作詞で役立つ8つの比喩表現の紹介を終わります。
おさらいをすると、作詞で役立つ8つの比喩表現のまとめです。
- 表現①:直喩(ちょくゆ)|「〜のような」「〜みたいな」を使って、物事に例える表現技法
- 表現②:隠喩(いんゆ) |「〜のような」を使わずに物事にたとえる表現技法
- 表現③:換喩(かんゆ) |隣接するものを、それと関係の深いものでたとえる表現技法
- 表現④:提喩(ていゆ) |部分的なことで全体を表す、またはその逆を表す表現技法
- 表現⑤:転喩(てんゆ) |前後の出来事で例える比喩表現
- 表現⑥:諷喩(ふうゆ) |抽象的な概念を、具現化する比喩表現
- 表現⑦:奇想(きそう) |全く関連性の無いもの同士を結びつける表現技法
- 表現⑧:音喩(おんゆ) |オノマトペによる比喩表現
作詞において適切な比喩表現を用いることで、伝えたい事柄を強調したり、共感を得たりすることができます。
なるほど!と思うような優れた比喩表現を発見し、歌詞に取り入れてみてはいかがでしょうか。