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ずっと真夜中でいいのに。「低血ボルト」歌詞分析

歌詞分析

Aさん
Aさん
ずっと真夜中でいいのに。「低血ボルト」の歌詞ってどんな意味なのかな?作詞家の視点から歌詞を分析してほしい。作詞のコツや技を知りたい。

このような疑問にお答えします。

本記事の内容

  • 「低血ボルト」の楽曲クレジット
  • 「低血ボルト」の意味
  • 「低血ボルト」の歌詞
  • 「低血ボルト」の歌詞分析
  • 「低血ボルト」の本質

本記事の信頼性

この記事を書いているtanitaniは、現在シンガーソングライター歴2年目です。普段から曲作りをしており、持ち曲は100曲以上です。

今回は、ずっと真夜中でいいのに。「低血ボルト」の歌詞分析をご紹介します。

難解な歌詞で有名なずっと真夜中でいいのに。その楽曲の歌詞をもっとわかりやすく知りたいと思っている方は多いと思います。そこで今回は、作詞家の視点から歌詞を分析していきます。ACAねさんの作詞術を知りたい方は必見です

それでは、前置きはこの辺にして、早速ご紹介していきます。

(※あくまで、本記事の歌詞分析はtanitaniの個人的解釈によるものです。「歌詞」に正解など存在しません。一つの解釈としてお楽しみください。)




「低血ボルト」の楽曲クレジット

2020.08.05発売 mini ALBUM『朗らかな皮膚とて不服』収録曲

ずっと真夜中でいいのに。『低血ボルト』
(ZUTOMAYO - FASTENING)
Lyrics & Music & Vocal - ACAね
Arrangement - 関口晶大, 出口遼, ZTMY
Additional Arrangement - 黒川陽介, Art Neco
Left Piano - Jun☆Murayama
Right Piano - Nao Nishimura
Drums - Yoshihiro Kawamura
Bass - Ryosuke Nikamoto
Guitar - Takayuki "Kojiro" Sasaki
Rec & Mix Engineer - Toru Matake
Mastering Engineer - Takeo Kira
Sound Direction - Kohei Matsumoto

Music Video
Animation – 革蝉 (@aozukikawasemi)

「低血ボルト」の意味

ACAねさんのコメント

MV公開日の2020年07月23日に「スパナ会議〜エビデンス提出の時間〜」というYouTube生配信LIveが行われました。そこで、作詞者であるACAねさんがこのようなことを話されていました。

「低血ボルトは、自分が、それぞれが、思っている正義とて、周りに押し付けるのはいかがなものかと。不服な花が咲き、低血のエビデンスもただ紙っぺら。それに縛られず、何かを犠牲にしたとしても守りたい大切がある。でも、何も失いたくないんですけどね。 そういう意思が自分自身の契約になればなぁと。そう思ってます。」

このコメントを踏まえて楽曲名「低血ボルト」の意味を噛み砕いていきます。

  • その①:「低血」の意味
  • その②:「ボルト」の意味
  • その③:「低血ボルト」の意味

その①:「低血」の意味

その①:「低血」の意味

「低血」という言葉に関して、そもそも低血という単語は存在しません。つまり。これは当て字です。よって、文字から連想される「低血圧」と同音異義語である「締結」、これら2つの言葉を意味すると考えられます。

  • 低血圧:血圧が標準値よりも低い状態
  • 締結:条約・契約などを結ぶこと

MVタイトルの英語表記で(ZUTOMAYO - FASTENING)と書かれていました。FASTENINGはこのような意味です。

  • fasteing:締めること(留めること)

このことから、「締結」の意味もあることが裏付けられます。

その②:「ボルト」の意味

その②:「ボルト」の意味

「ボルト」には、boltとvoltの2つの言葉があります。

  • ボルト(bolt):機械部品などを締めて固定するための雄ネジ(ナットと組み合わせて用いる。)
  • ボルト(volt):電圧・起電圧(=電池・発電機などの電流を流す能力)を表す単位

ここで、MV公開前の「スパナ会議〜エビデンス提出の時間〜」の「スパナ」の意味を見てみましょう。

  • スパナ:ボルト・ナットのしめつけ、取り外しに用いる工具

このスパナの意味から、「ボルト」は雄ネジのボルト(volt)であると裏付けられます

その③:「低血ボルト」の意味

以上のことから、低血ボルトには2つの意味が込められてると推測します。

  • 意味①:低血圧のままでいたい
  • 意味②:契約を結ぶ

これでもまだよくわかりません。歌詞を分析することで意味を紐解いていきましょう。

「低血ボルト」の歌詞

「低血ボルト」作詞 ACAね

弱気になる最寄の雨
日々飛び散る血を滲ませてく
権利を武器に変えて争うほど
心を失うこと受け入れる

覚悟なら 自然に
誰かの為に引き換えに手放せば
今自分が
生きてゆく意味になれてゆくの

怖がることはもういーかい
惑わされてくなら
頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
脳みそ達止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

時が経てば 自然に
忘れゆく悲しみをいつまでも
思い返して
背負うことで戦えるの

たとえ否定しかしない誰かを
正義まで押し付ける客観を
見逃しは出来ないけど
響かないから
同調したって中身無くて
正しさが正しくなれないほど
簡単に僕らを表せないように
お口直しを

怖がることはもういーかい
惑わされてくなら
頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
脳みそ達止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

こわいよ
何も感じない 苦しみを 探し求め
我に帰ってく
ひたすら 噛み締めた 恨みは
くだらんか? ううん

助かれ..

怖がることを金輪際
迷いに負けるなら
頭でっか血 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
奇想天外止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

「低血ボルト」の歌詞分析

それでは、「低血ボルト」の歌詞をこのような流れで分析していきます。

  • 1番:葛藤
  • サビ1:無敵になれた
  • 2番:悲しみこそが原動力、されど戦いは
  • サビ2:無敵になれた
  • D:何も失いたくないんですけどね
  • ラストサビ:決意

1番:葛藤

1番:感覚と論理のジレンマ

弱気になる最寄の雨
日々飛び散る血を滲ませてく
権利を武器に変えて争うほど
心を失うこと受け入れる
覚悟なら 自然に
誰かの為に引き換えに手放せば
今自分が
生きてゆく意味になれてゆくの

語句の意味

  • 弱々しい:いかにも力や元気がないさま
  • 最寄:最も近いところ。すぐ近く。
  • 飛び散る:何かが勢いよくあちこちに飛んでばらばらに散る
  • 血 :①血液
  •    ②血筋。血縁。血統。
  •    ③人情・活力などの源となるもの
  • 滲む:①液体が紙や布などにしみて広がる
  •    ②液体がしみて文字などの輪郭がぼやける
  •    ③表面にうっすらと液体がしみてくる
  •    ④表情などにあらわれる
  • 血の滲む:大変な苦労や努力をしているさま
  • 権利:自分の意思によってある物事を自由に行うことができる資格

1番を前半と後半に分けて、歌詞を分析していきます。

前半:状況設定

弱気になる最寄の雨
日々飛び散る血を滲ませてく
権利を武器に変えて争うほど
心を失うこと受け入れる

「弱気になる最寄の雨」
→力や元気のない涙(「最寄りの雨」=涙の隠喩)→悲しみの涙が

「日々飛び散る血を滲ませてく」
→日々あちこちに飛んでいく。弱気にならないように努力してるものの。

「権利を武器に変えて争うほど」
それぞれが正義の押し付け合いをしてしまうほど

「心を失うこと受け入れる」
→僕は自分の感情を犠牲にしてもいいと思ってしまう

後半:問題発生

覚悟なら 自然に
誰かの為に引き換えに手放せば
今自分が
生きてゆく意味になれてゆくの

「覚悟なら 自然に」
→自分の感情を犠牲にする覚悟なら、元々持ち合わせている

しかし、ここで問題発生!

「誰かの為に 引き換えに 手放せば」
→でも、誰かを守るために、代わりにその覚悟を手放してしまえば、

自分の感情を犠牲にする覚悟を手放すとは、つまり、自分も感情的になって正義の押し付け合いに加わってしまうこと

「今自分が生きてゆく意味になれてゆくの」
→それは本当に、今自分が生きる価値になるのかどうか迷ってしまう。

要約

主人公は正義の押し付けをするくらいなら、自分の感情を犠牲にしてもいいと思っていました。しかし、誰かを守ろうとした場合、正義の押し付けをせざるを得なくなってしまうのです。正義の押し付けをしたくないはずなのに、誰かを守るためには正義を押し付けなくちゃいけなくなる。どうすればいいのか自分に問いかけ、迷っていました。

主人公は「正義の押し付け」をしたくない、でもしなくちゃ何も守れないと葛藤しています。

サビ1:無敵になれた

サビ1:皮膚を頼れば怖くない

怖がることはもういーかい
惑わされてくなら
頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
脳みそ達止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

語句の意味

  • 頭でっかち:知識や理論が先立って、行動が伴わないこと。また、その人。
  • うんと:量・程度がはなはだしいさま。たくさん。非常に。
  • 触覚:物に触れたときに生じる皮膚の感覚。


ACAねさんのこのツイートから「頭でっ価値」と「脳みそ達」は別の意味として分析します。

「怖がることはもういーかい 惑わされてくなら」
かくれんぼの「もういーかい」「まーだだよ」をモチーフに、「惑わされてくなら、怖がることをもうやめにしようよ」と、自分自身へ問いかけています

「頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと 乱してあげて」
→「頭でっかち」の当て字です理性に縛られて行動できないなら、理性を強く打ち壊して、もみほぐしてあげよう。

「脳みそ達止められない 操れない僕に 期待したいんだ」
→「達」による複数形。それぞれの考えは誰も止めることはできない。僕自身も自分の考えをコントロールできないように。だから、そんな僕に期待したいんだ。

主人公はなぜ期待したいのか?その理由がこちらです。

「切り刻まれ この皮膚に従うほど 無敵になれた」
→いろんな考えを切り離し、感覚(直感)を頼りにすれば迷いはなくなったから

要約

主人公は「もう怖がることはやめにしようよ」と自分自身に問いかけます。あーだこーだ考えて迷っているばかりでは、誰かを守ることができない。それぞれの考え方は変えられない。だって、僕自身も自分の考えをコントロールできないから。考えに縛られることなく、直感で動けば迷いはなくなった。主人公は直感的な自分に期待するのでした。

2番:悲しみこそが原動力、されど戦いは

2番:悲しみこそが原動力、されど戦いは

前半:悲しみこそが原動力

時が経てば 自然に
忘れゆく悲しみをいつまでも
思い返して
背負うことで戦えるの

→時間の経過とともに、自然と悲しみの記憶も薄れてしまう。だけど、いつまでも悲しみを思い返し、そしてそれを背負うことで僕は戦うことができる。

主人公は悲しみがないと戦えません。

後半:されど戦いは

たとえ否定しかしない誰かを
正義まで押し付ける客観を
見逃しは出来ないけど
響かないから

同調したって中身無くて
正しさが正しくなれないほど
簡単に僕らを表せないように
お口直しを

語句の意味

  • 同調:他人の意見・態度などに合わせること。
  • 口直し:口内に残った、不快な味を消すために、また、口中をさっぱりさせるために、別のものを飲食すること

「たとえ否定しかしない誰かを」
→たとえ否定ばかりする誰かがいたとして、

「正義まで押し付ける客観を」
→正義まで押し付ける客観的な意見を持った別の誰かがいたとして、

「見逃しは出来ないけど」
→僕は(両者の権利を武器に変えた争いを)見て見ぬふりはできない。だけど、

「響かないから」
→僕の考えを他人の心に伝えることはできない。

なぜなら、それも結局は「正義の押し付け」だから。

「同調したって中身無くて」
→かと言って、一方の正義に同意したとしても、僕は中身のないペラペラ人間になるだけだし。

「正しさが正しくなれないほど」
→それに、世間が認める正しさが本当に正しいとは言い切れないし。

「簡単に僕らを表せないように」
→単純に、人間それぞれの考えをはっきりと見える形にして表に出すことなど不可能だから。

「お口直しを」
頭の中を一度さっぱりさせよう。

要約

主人公にとって悲しみこそが原動力。悲しみがあれば怖くない。だけど、正義の押し付け合いを見つけた時にどうしたらいいかわからない、もう一度整理しよう!!

サビ2:無敵になれた

怖がることはもういーかい
惑わされてくなら
頭でっ価値 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
脳みそ達止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

サビ1と意味は同じです。省略します。

D:何も失いたくないんですけどね

D:助かれ

こわいよ
何も感じない 苦しみを 探し求め
我に帰ってく
ひたすら 噛み締めた 恨みは
くだらんか? ううん

助かれ..

語句の意味

  • くだらない:真面目に取り上げるだけの価値がない。
  • ううん:否定。つまり、NOを意味します。

「こわいよ 何も感じない」
→主人公は「何も感じない」ことが「こわいよ」と嘆いています。

なぜこわいのか?

それは、「無敵になれた」ことで、苦しみを感じなくなったから。

主人公は、「心を失うこと受け入れる」覚悟なら、元々持ち合わせていましたが、無敵になって苦しみを感じなくなるのはいかがなものかと疑問に思い始めたのです。
これは、ACAねさんのコメント「でも、何も失いたくないんですけどね。」と一致します。

「苦しみを 探し求め 我に帰ってく」
→そこで、苦しみを取り戻すために正気に戻ります。

「ひたすら 噛み締めた 恨みは くだらんか? ううん」
→ずっと言わずに我慢し続けた恨みは価値のないことだったのかな?いいえ、価値のあることだよ。と、自問自答してます。

この「恨み」は何に対するものでしょう。

その対象は「正義の押し付け」です。

主人公は、「正義の押し付け」はしたくないと主張したかった。だけど、この主張こそが「正義の押し付け」になるとわかっていた。だから、ひたすら噛み締めたまま「正義の押し付け」を恨んでいたのです。

「助かれ..」
→「助かる」の命令形

何に対して命令しているのでしょう。

これは「恨み」に対してです。

「恨み」を抱いていたおかげで、「正義の押し付け」をしなくて済んだ。つまり、「恨み」があってよかったと、「恨み」の存在を肯定します。
これも、ACEねさんのコメント「でも、何も失いたくないんですけどね。」と一致します。

要約

主人公は、無敵になったことで苦しみを感じなくなってしまった。だから、苦しみを取り戻そうと正気になる。そして、「正義の押しつけ」に対する恨みに価値があったのかと疑問に思いますが、ちゃんと価値があったと自分で納得します。

ラストサビ:決意

ラストサビ:決意

怖がることを金輪際
迷いに負けるなら
頭でっか血 ずっとうんと砕いてもっと
乱してあげて
奇想天外止められない 操れない僕に
期待したいんだ
切り刻まれ この皮膚に従うほど
無敵になれた

語句の意味

  • 金輪際:絶対に。断じて
  • 奇想天外:普通では思いつかないほど奇抜であること。

サビ1、2との変更箇所がこちら。

 怖がることはもういーかい 惑わされてくなら

→怖がることを金輪際 迷いに負けるなら

→「もういーかい 」の問いかけから「金輪際」の絶対にという意味に変更されました。

つまり、主人公はもう二度と絶対に怖がったりしないと決意します

 脳みそ達止められない 操れない僕に

→奇想天外止められない 操れない僕に

→普通では思いつかない考え(=何も失いたくないという考え)を思いつくことは仕方ない。人間とはそういう生き物だと納得しています。

「低血ボルト」の本質

「低血ボルト」の本質

以上で、「低血ボルト」の歌詞分析を終わります。

ACAねさんのコメントをもう一度おさらいします。

「低血ボルトは、自分が、それぞれが、思っている正義とて、周りに押し付けるのはいかがなものかと。不服な花が咲き、低血のエビデンスもただ紙っぺら。それに縛られず、何かを犠牲にしたとしても守りたい大切がある。でも、何も失いたくないんですけどね。 そういう意思が自分自身の契約になればなぁと。そう思ってます。」

そして、冒頭で楽曲名には2つの意味が込められてると推測しました。

  • 意味①:低血圧のままでいたい
  • 意味②:契約を結ぶ

ACAねさんのコメント・推測・歌詞分析を終えて、「低血ボルト」の本質を挙げるとするならばこちらです。

  • 本質①:何かを犠牲にしたとしても守りたい大切がある
  • 本質②:「正義の押し付け」はしない
ACAねさんの「でも、何も失いたくないんですけどね。」というコメントから、同時に成立しない本質①と本質②の両方を失いたくないと誓った歌詞であるとわかりました。

本記事を読み終えたいま、もう一度「低血ボルト」を聴いてみてはいかがでしょうか?歌詞の奥深さを堪能してみてください。

それでは、また歌詞分析でお会いましょう。ありがとうございました。

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ずっと真夜中でいいのに。さんは現在、2ndfull Album「ぐされ」をリリースしています。

今回ご紹介した「低血ボルト」も収録されていますので、ACAねさんの歌声を聴きたい方は下記のリンクからぜひご購入ください。


 

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