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ヨルシカ「盗作」歌詞分析

歌詞分析

Aさん
Aさん
ヨルシカ「盗作」の歌詞ってどんな意味なのかな?作詞家の視点から歌詞を分析してほしい。作詞のコツや技を知りたい。

このような疑問にお答えします。

本記事の内容

  • 「盗作」の楽曲クレジット
  • 「盗作」の意味
  • 「盗作」の歌詞
  • 「盗作」の歌詞分析
  • 「盗作」の本質

本記事の信頼性

この記事を書いているtanitaniは、現在シンガーソングライター歴2年目です。普段から曲作りをしており、持ち曲は100曲以上です。

今回は、ヨルシカ「盗作」の歌詞分析をご紹介します。

美しい文学的な歌詞で有名なヨルシカ。その楽曲の歌詞をもっとわかりやすく知りたいと思っている方は多いと思います。そこで今回は、作詞家の視点から歌詞を分析していきます。n-bunaさんの作詞術を知りたい方は必見です

それでは、前置きはこの辺にして、早速ご紹介していきます。

(※あくまで、本記事の歌詞分析はtanitaniの個人的解釈によるものです。「歌詞」に正解など存在しません。一つの解釈としてお楽しみください。)




「盗作」の楽曲クレジット

2020.07.29発売 3rd Full Album「盗作」収録曲

現在、調査中です。しばらくお待ちください。

「盗作」の意味

まず最初に、楽曲名「盗作」の意味を噛み砕いていきます。

YouTubeに公開されたMVの概要欄にこのような文章が書かれていました。

俺は泥棒である。
往古来今、多様な泥棒が居るが、俺は奴等とは少し違う。
金を盗む訳では無い。骨董品宝石その他価値ある美術の類にも、とんと興味が無い。
俺は、音を盗む泥棒である。

それはメロディかもしれない。装飾音かもしれない。詩かもしれない。コード、リズムトラック、楽器の編成や音の嗜好なのかもしれない。また、何も盗んでいないのかもしれない。この音楽達からそれを見つけるのもいい。糾弾することも許される。
客観的な事実だけなら、現代の音楽作品は一つ残らず全てが盗作だ。意図的か非意図的かなど心持ちでしかない。メロディのパターンもコード進行も、とうの昔に出尽くしている。

それでも、作品の価値は他者からの評価に依存しない。盗んだ、盗んでないなどはただの情報でしかない。本当の価値はそこにない。ただ一聴して、一見して美しいと思った感覚だけが、君の人生にとっての、その作品の価値を決める。
「盗作品」が作品足り得ないなど、誰が決めたのだろう。
俺は泥棒である。

重要なのはこの部分です!

それでも、作品の価値は他者からの評価に依存しない。盗んだ、盗んでないなどはただの情報でしかない。本当の価値はそこにない。ただ一聴して、一見して美しいと思った感覚だけが、君の人生にとっての、その作品の価値を決める。

n-bunaさんの主張は、「作品の価値はあなた自身の感覚によって決まる」ということ。

作った曲が盗作であろうとなかろうと、あなたが価値があると思えば、作品として認められると言いたいのです。これはインタビューのn-bunaさんのコメントと一致します。

音楽のタブーとされているものって、一番大きなものが盗作だと思うんです。多くの人が作品に対して「オリジナリティがある」ということを、ひとつの大きなアイデンティティのように思っている。僕はそれが今の時代においては、すごく白々しいと思っているんです。そういうものに対してのカウンターパンチを、ヨルシカというものを巻き込んで放ちたかった。僕の価値観としては、犯罪というものをテーマにして、盗作家の男が作った作品集でさえも、それは一つの美しい作品集になると思った。だからこそ作ったというのはあります。(※3rdアルバム『盗作』特設サイト インタビュー前編 より)

それでは、歌詞を分析していきましょう。

「盗作」の歌詞

「盗作」 作詞 n-buna

「音楽の切っ掛けは何だっけ。
父の持つレコードだったかな。
音を聞くことは気持ちが良い。
聞くだけなら努力もいらない。

前置きはいいから話そう。
ある時、思い付いたんだ。
この歌が僕の物になれば、この穴は埋まるだろうか。

だから、僕は盗んだ」

嗚呼、まだ足りない。全部足りない。
何一つも満たされない。
このまま一人じゃあ僕は生きられない。
もっと知りたい。愛を知りたい。
この心を満たすくらい美しいものを知りたい。

「ある時に、街を流れる歌が僕の曲だってことに気が付いた。
売れたなんて当たり前さ。
名作を盗んだものだからさぁ!

彼奴も馬鹿だ。こいつも馬鹿だ。
褒めちぎる奴等は皆馬鹿だ。
群がる烏合の衆、本当の価値なんてわからずに。
まぁ、それは僕も同じか」

嗚呼、何かが足りない。
これだけ盗んだのに少しも満たされない。
上面の言葉一つじゃ満たされない。
愛が知りたい。金が足りない。
この妬みを満たすくらい美しいものを知りたい。

「音楽の切っ掛けが何なのか、今じゃもう忘れちまったが欲じゃないことは覚えてる。
何か綺麗なものだったな。

化けの皮なんていつか剥がれる。
見向きもされない夜が来る。
その時に見られる景色が心底楽しみで。

そうだ。
何一つもなくなって、地位も愛も全部なくなって。
何もかも失った後に見える夜は本当に綺麗だろうから、本当に、本当に綺麗だろうから、

僕は盗んだ」

嗚呼、まだ足りない。もっと書きたい。
こんな詩じゃ満たされない。
君らの罵倒じゃあ僕は満たされない。
まだ知らない愛を書きたい。
この心を満たすくらい美しいものを知りたい。

まだ足りない。まだ足りない。
まだ足りない。まだ足りない。
まだ足りない。僕は足りない。
ずっと足りないものがわからない。
まだ足りない。もっと知りたい。
この身体を溶かすくらい美しい夜を知りたい。

「盗作」の歌詞分析

「盗作」の歌詞分析

「盗作」の歌詞をこのような流れで分析していきます。

  • A1:この穴を埋めたかっただけ
  • C1:足りない
  • A2:作品の価値とは?
  • C2:褒められても足りない
  • A3:罵倒されたい
  • D1:綺麗な夜を見たかっただけ
  • C4:それでもまだ足りない
  • C5:美しい夜が知りたい

それでは、歌詞を分析していきましょう。

A1:この穴を埋めたかっただけ

>A1:この穴を埋めたかっただけ

「音楽の切っ掛けは何だっけ。
父の持つレコードだったかな。
音を聞くことは気持ちが良い。
聞くだけなら努力もいらない。

前置きはいいから話そう。
ある時、思い付いたんだ。
この歌が僕の物になれば、この穴は埋まるだろうか。

だから、僕は盗んだ」

このAメロ部分は、主人公が盗作をした理由を話す語りのシーンです。

なぜ語りとわかるのか、それは括弧(「 」)があるから

この括弧で主人公が胸の内を吐露している状況を表現しています。

注目ポイント!! 「レコード」は「この穴は埋まるだろうか。」を連想させる

最初に登場する「レコード」という言葉が「この穴は埋まるだろうか。」のイメージ補強剤として機能しています。

主人公の心情の真ん中にも「レコード」ような穴がぽっかりと空いていることを暗示していたのです。

要約

僕は盗作をした。なぜなら、この穴を埋めたかったから。

C1:足りない

C1:足りない

嗚呼、まだ足りない。全部足りない。
何一つも満たされない。
このまま一人じゃあ僕は生きられない。
もっと知りたい。愛を知りたい。
この心を満たすくらい美しいものを知りたい。

このサビはaiで韻を踏んでいます。確認してみましょう。

嗚呼、まだ足り(tari)ない(nai)。全部足り(tari)ない(nai)。
(nani)一つも満たされない(nai)。
このまま一人じゃあ僕は生きられない(nai)。
もっと知りたい(tai)。(ai)を知りたい(tai)。
この心を満たすくらい(rai)美しいものを知りたい(tai)。

各フレーズにaiが隠れていることがわかりました

韻を踏むことはこのような効果を与えます。

  • 歌いやすい
  • 聞き取りやすい
  • 印象に残りやすい

サビで韻を踏むことで、記憶に残りやすくなりますね。いわゆる、キャッチー!

要約

主人公は何もかもが満たされなず苦しんでしまう。だから、心を満たすために美しいものを探し求めます。

A2:作品の価値とは?

A2:作品の価値とは?

「ある時に、街を流れる歌が僕の曲だってことに気が付いた。
売れたなんて当たり前さ。
名作を盗んだものだからさぁ!

彼奴も馬鹿だ。こいつも馬鹿だ。
褒めちぎる奴等は皆馬鹿だ。
群がる烏合の衆、本当の価値なんてわからずに。
まぁ、それは僕も同じか」

ここからまた語りが始まります。

「烏合の衆」とは、規律も統制もない群衆という意味です。

要約

主人公が名作を盗んで作った曲が売れた。しかし、売れたのは当たり前。主人公は、売れたことによって「価値がある」と褒めてくる世間の声に嫌気がさします。

C2:褒められても足りない

C2:褒められても足りない

嗚呼、何かが足りない。
これだけ盗んだのに少しも満たされない。
上面の言葉一つじゃ満たされない。
愛が知りたい。金が足りない。
この妬みを満たすくらい美しいものを知りたい。

C1同様に、aiで韻を踏んでいます。確認してみましょう。

嗚呼、何かが足りない(nai)。
これだけ盗んだのに少しも満たされない(nai)。
上面の言葉一つじゃ満たされない(nai)。
(ai)が知りたい(tai)。金が足りない(nai)。
この妬みを満たすくらい(rai)美しいものを知りたい(tai)。

C2も同様に、各フレーズにaiが隠れていることがわかりました

要約

褒められても満たされない。名作を作ったひとが羨ましい。

A3:罵倒されたい

A3:罵倒されたい

「音楽の切っ掛けが何なのか、今じゃもう忘れちまったが欲じゃないことは覚えてる。
何か綺麗なものだったな。

化けの皮なんていつか剥がれる。
見向きもされない夜が来る。
その時に見られる景色が心底楽しみで。

要約

主人公は、もう褒められなくていいと否定的な感情になります。そして、盗作したこともそのうちバレると悟ります。

D1:綺麗な夜を見たかっただけ

D1:綺麗な夜を見たかっただけ

そうだ。
何一つもなくなって、地位も愛も全部なくなって。
何もかも失った後に見える夜は本当に綺麗だろうから、本当に、本当に綺麗だろうから、

僕は盗んだ」

要約

ここであることを思いつきます!全てを失えば心は満たされるのではないだろうか?

C3:それでもまだ足りない

C3:それでもまだ足りない

嗚呼、まだ足りない。もっと書きたい。
こんな詩じゃ満たされない。
君らの罵倒じゃあ僕は満たされない。
まだ知らない愛を書きたい。
この心を満たすくらい美しいものを知りたい。

このサビもaiで韻を踏んでいます。確認してみましょう。

嗚呼、まだ足りない(nai)。もっと書きたい(tai)。
こんな詩じゃ満たされない(nai)。
君らの罵倒じゃあ僕は満たされない(nai)。
まだ知らない(nai)(ai)を書きたい(tai)。
この心を満たすくらい(rai)美しいものを知りたい(tai)。

要約

主人公は全て失うために再度盗作して曲を作ります。そして、「これは盗作だ」と罵倒されます。しかし、心は満たされることはありません。

C4:美しい夜が知りたい

C4:美しい夜が知りたい

まだ足りない。まだ足りない。
まだ足りない。まだ足りない。
まだ足りない。僕は足りない。
ずっと足りないものがわからない。
まだ足りない。もっと知りたい。
この身体を溶かすくらい美しい夜を知りたい。

このサビもaiで韻を踏んでいます。確認してみましょう。

まだ足り(tari)ない(nai)。まだ足り(tari)ない(nai)。
まだ足り(tari)ない(nai)。まだ足り(tari)ない(nai)。
まだ足り(tari)ない(nai)。僕は足り(tari)ない(nai)。
ずっと足り(tari)ない(nai)ものがわからない(nai)。
まだ足り(tari)ない(nai)。もっと知りたい(tai)。
この身体を溶かすくらい(rai)美しい夜を知りたい(tai)。

見てわかりますね(笑)

aiの連呼です。それだけ愛(ai)を求めていることが伝わってきます。

要約

最終的に、主人公はただ美しい夜が知りたい。望みはそれだけなのでした。

「盗作」の本質

「盗作」の本質

以上で、「盗作」の歌詞分析を終わります。

歌詞分析を終えて、「盗作」の本質を挙げるとするならばこちらです。

  • 本質①:作品の価値は、「盗作したかどうか」には依存しない
  • 本質②:作品の価値は、あなたが美しいと思うかどうかで決まる

音楽を「盗作」することは本当に悪なのかどうか...?「作品」に対するn-bunaさんの考えを覗くことが出来る楽曲でした。

本記事を読み終えたいま、もう一度「盗作」を聴いてみてはいかがでしょうか?歌詞の奥深さを堪能してみてください。

それでは、また歌詞分析でお会いましょう。ありがとうございました。